通貨発行益について

通貨発行益についての特論

 

中央銀行である日銀としては,オープン・マーケットにおいて
国債等の政府証券を購入することによって、長期債の現金化(貨幣化)として、特別会計国債整理基金)における「公債金」を用意するということである。

中央銀行は,オペレーション(買いオペ)により銀行システムを通じて公衆へ金利ゼロの銀行券を発行・供給し,これと相対の借方に資産を置く交換に、有利子の政府証券を保有することになる。ここで中央銀行は政府証券というシーニョレッジ(通貨発行益)の源泉を獲得する。

一方,市場の側は,中央銀行に政府証券を売却することによって銀行券(Monetary Baseのタネ)を獲得したことになる。

こうした中央銀行が行うオペで、長期債の取引とともに、政府がキャッシュフロー勘定で要する短期政府証券の短期金融市場金利の安定化も欠かせない。そうした短期国債とは「証券の差現金化(貨幣化)」のための手続きプロセスであり、償還の際の減債で長期債から乗換えられて発行される(政府債務科目内の移動)「借換債」とか日銀買上げ償還の「交付債」から為替証券(為替介入に時の)はもちろん、ほかに政府証券TDBがある。

以上が、中央銀行はシーニョレッジを発生させる仕組みである。

ところで、識者の多くは、銀行券発行に伴い中央銀行が受け取るシーニョレッジを,「政府証券等の有利子金融資産の金利収入から発行済みの銀行券の管理費用等を差し引いた額」、という中央銀行の会計年度の収支尻(運用益)に限定定義してしまっている。

これがマヤカシだということは、政府貨幣である100円玉といった硬貨を追えば明らかになる。造幣局が日銀へ市場流通を手渡し額面の95%は一律一般会計歳入に繰入れらていていて、別途に、会計運用経費のために当てられた5%からの収支尻(益)も一般予算に「運用益」として納付されている。

つまり、今国の一般予算歳入に日銀から繰入れられている「国庫納付金」に限定して定義しているから、政府が借換債などで引き出す100兆円の原資の所在を「日銀マネー」と抽象的に定義している。どのような資金であれ、広義政府的には貸借的に説明をしなくてはならないのだが、ご承知のように国の会計は複式簿記でない。ごまかしがきくのである。

反証的参考文献:セントラル・バンキングとシーニョレッジ」(
小栗誠治)滋賀大学経済学部研究年報Vol13(2006)